若手研究者の自立的研究環境整備促進事業
若手研究者の自立的研究環境整備促進事業
名古屋工業大学は,文部科学省平成21年度科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」に採択され,「若手研究イノベータ養成センター」を設置しました.また平成25年度には「テニュアトラック普及・定着事業(機関選抜型・個人選抜型)」に採択され,テニュアトラック制度の推進を今後も更に進めて参ります.
センターの取組は,次のとおりです.
- 優秀な若手研究者を広く国内外から任期付特任教員として採用し,
- 自立的研究環境の下で,国際的な研究レベルで活躍し,将来,本学がめざす先導的融合研究分野での研究教育を牽引するとともに,イノベーションの創出や新研究領域の開拓などの取り組みの活性化に資する若手研究イノベータとして育て,
- テニュア教員として採用する
人材養成システム改革の概要
本学独自の研究機構である「プロジェクト研究所」による若手研究員育成,研究者の自立性独立性,外部資金獲得の実績を基に,学内に「若手研究イノベータ養成センター」(以下,養成センター)を設立し,本学が重点的に取組む4つの先導的融合研究領域(ナノテクノロジー・材料分野,情報通信分野,環境分野,ライフサイエンス分野)を形成しました。
そして,先進的な研究テーマをもつ若手人材を研究領域ごとに広く国内外の大学・研究機関・民間企業から公募して,5年の任期制「特任教員」(テニュア・トラック助教,テニュア・トラック准教授)として16名を採用し,若手研究イノベータとして養成して参りました。
研究の推進に当たっては,特任教員が柔軟な研究グループを構成し,関連部局の教員,大学院生の参画による全学的な支援体制,学内のプロジェクト研究所との連携,オープンラボやオフキャンパスの有効利用など,独創的かつ自立的で継続的な研究が実現できる研究環境を整備しました。
各研究領域には,研究コーディネータ(領域に関連する部局の教員)を配置し,メンター制を導入して特任教員の研究室運営・研究環境整備・外部資金獲得等の指導や教育指導を複数のメンターで担当しています。
特任教員の業績は,学内外の専門家集団で構成する「特任教員評価委員会」によって毎回厳正に審査しました。その結果テニュア審査で合格した特任教員4名は,学内部局のテニュア教員に採用しました。
また,本人の希望,適性,研究内容によっては,産業界の研究所への推薦や海外諸機関に推薦するなどの多様なキャリアパスを構築しました。
平成26年4月からは大学経費による運営に移行し,関連部局やプロジェクト研究所と連携し,全学的な養成センター体制を持続形成しています。
「若手研究者の自立的研究環境整備促進プロジェクト」ミッションステートメントの達成状況
(1)「人材養成システム改革構想の概要」の達成状況
- 従来の教育研究組織から独立した「若手研究イノベータ養成センター」(以下,養成センター)を新しく設立し,「ナノテクノロジー・材料」「情報通信」「環境」「ライフサイエンス」の先導的融合研究領域の4つの研究組織を形成した。
- 養成センターにおいて平成21年度6名,22年度2名,23年度4名,24年度4名,25年度2名の若手研究者を国際公募により任期制「特任教員」として雇用し,テニュア・トラックに導入した。
- 平成25年4月現在,学内部局テニュア・ポストへ配置した。
- 平成21年度から25年度までの5年間に36回の国際シンポジウムを開催し,内外の研究者との交流を通じ国際連携研究による世界水準レベルの研究を推進した。
- 特任教員ごとに配置した研究コーディネータ・メンターや関連部局の教員等との連携のもと,積極的な産学官連携共同研究を推進した結果,外部研究資金の獲得,研究開発情報の交換,共同研究環境整備,大学関連組織との連携によるセミナー開催等の情報発信など,大学の教育研究の改革・改善に繋がる活動を多数実施した。その結果,テニュアトラック制度導入による若手教員の研究力の向上に関して極めて大きな効果があり,大学全体の活性化に貢献してきた。
(2)「3年目終了時における具体的な目標」の達成状況
- 養成センターにおけるテニュア・トラック制度を整備した。
- 16名の任期制(5年)特任教員(初年度6名+2年度目2名+3年度目4名)を採用した。女性教員・外国人教員を優先的に採用した。
- 国内外の専門家を加えた「特任教員評価委員会」による中間評価を実施して,とくに優秀な成果(国際的な研究実績,競争的資金の獲得実績など)が認められた場合には学内部局テニュア・ポストへ移行させこととした。
- 学外の大学・研究機関,企業に委託した外部委員からなる「外部評価委員会」を設置し,養成センターの自己点検評価に基づき外部評価を実施した。
(3)「実施期間終了時における具体的な目標」の達成状況
- 平成26年度から養成センターの運営を大学自主経費での運営に移行した。
- 実施期間終了時までに特任教員16名を雇用した。学内テニュアポストへの移行については,当初予定は5年間で3名程度をであったが,テニュア審査の結果,十分な業績により4名を移行した。
- 本人材養成システム構想に基づくテニュア・トラック制度を,若手研究者雇用システムに拡大している。
(4)実施期間終了後の取組
- 外部資金(競争的資金,民間の研究費)獲得の実績と,その有効活用に基づく資金計画・採用計画により,養成センターを継続的に自主運営していく。
- 若手研究者のテニュア・ポストでの競争的資金獲得,社会への人材輩出による産学官連携研究の増加を図り,特任教員雇用枠を拡大して養成センターのテニュア・トラックをスパイラル的に拡大していく。
- 養成センターにおけるテニュア・トラック制度を,本学における先導的融合研究領域を牽引する優れた若手研究者の養成拠点として確立していく。
(5)期待される波及効果
- 養成センター内の4つの先導的研究領域は,「研究主導型の研究組織」であり,そこで雇用される「特任教員」は学内部局などから独立して自立的独創的な研究活動を実践することができる。従来の部局制・講座制にとらわれない養成センターに所属することにより,分野をまたいだ研究活動を実践することが可能である。
- 本学独自のプロジェクト研究所制度で培った若手研究者育成プログラムを,産学官連携に基礎を置く外部資金の有効活用によって「テニュア・トラック形成に向けた人材養成システムモデル」として発展させることは,限られたリソースの中で人材育成を行わなければならない現状を鑑み,他の工科系大学ならびに工学分野に波及する効果は大きい。
(6)学外評価結果